袖振れ合うも多生の縁334~真紅組の新元号初公演「慶應不思議草子」は本当に不思議な作品でした!~

画像画像左の写真は、真紅組プロデュース公演2019「慶應不思議草子」のチラシ(表)です。
一寸見にくいですが、左上に目をこらしてご覧下さい。

紫雲(?)に乗ったどや顔の猫が、『慶應三豊年踊之図』と旧漢字で書かれたお札を持ち、小判を撒いています。

そして大勢の猫たちが、お札の舞い散る中、無我夢中で狂喜乱舞していますよね。

それから下の写真はチラシの裏面で、中央左に大書されたタイトルの近辺に作品概要のコピーが書かれています。

慶應三年の夏。
元号が明治になる前年。
土佐藩の顕助たちは、京の白川にいた。
慎太郎の作った「陸援隊」に入るために。

京の街は志士たちを中心に大騒動。
街に流行るは奇妙な踊り。

ええじゃないか、よいじゃないか、 えーじゃないか

京に住むものたちも、その行く末を固唾を呑んで見守っていた。
維新前夜、京の町に起こった、ちょっと不思議な物語。




そうか、今回の作品は、中岡慎太郎が組織した倒幕の軍事組織である陸援隊とええじゃないか騒動の話なんやなと、チラシを見て思ったのです。<ええじゃないか>はWikipediaによると、江戸時代末期の慶応3年(1867年)8月から12月にかけて、近畿、四国、東海地方などで発生した騒動。「天から御札(神符)が降ってくる、これは慶事の前触れだ。」という話が広まるとともに、民衆が仮装するなどして囃子言葉の「ええじゃないか」等を連呼しながら集団で町々を巡って熱狂的に踊った。と説明されています。
画像
画像
上の画像はええじゃないか踊りの絵図ですが、これをじっと見ていると、真紅組のはなんで猫が踊ってるんや???と思ったのであります。でも観劇前にリーフレットを貰い、一見して納得!でした。
というのは登場人物が紹介されており、先ず岩倉具視。(写真下)
画像
              お次は陸援隊長中岡慎太郎(写真下)
画像
           そして陸援隊士の顕助(後の陸軍少将田中光顕)
画像
さらに慎三(大橋慎三。後に明治政府に出仕して式部佑・開拓判事・太政官大議生を歴任)と精一郎(後の石川・愛知・福岡・広島知事を歴任した岩村高俊)
画像
画像
中岡慎太郎の陸援隊に先んじて、坂本龍馬が中心となり結成した会社組織、海援隊の隊士陽之助(後の外務大臣・農商務大臣、陸奥宗光)
画像
同じく海援隊士与三郎(竹中与三郎。龍馬暗殺の黒幕紀州藩士三浦休太郎を討つ為、天満屋への斬り込みを志願し参加。手首を斬り落とされ、股部にも傷を負うなど満身創痍になりながらも奮戦。後の消息は不明)
画像
同じく宗七(加納宗七。与三郎らと共に三浦を襲撃したが失敗に終わり、追手を逃れ開港直後の神戸に移住し、材木商・廻船・舟宿などを営んだ)
画像
陸援隊及び海援隊に敵対する新撰組の斉藤(斎藤一。沖田は猛者の剣、斎藤は無敵の剣と言われた剣術の達人。後に警察官となり、警部まで昇進)
画像
同じく新撰組の梅戸(梅戸勝之進。戊辰戦争の甲州勝沼の戦い後、仙台で降伏。以後の消息は不明)
画像

同じく大石(大石鍬次郎。組の内部抗争で伊東甲子太郎を殺害し罪に問われ斬首刑に処された)
画像
続くは宮川(宮川信吉。龍馬と晋太郎暗殺の黒幕三浦休太郎襲撃の天満屋事件により戦死と伝えられている。下は信吉の墓)
画像
龍馬・慎太郎暗殺の疑惑から逃れる為か、町人に身をやつす三浦(元紀州藩士三浦休太郎。後に貴族院議員・東京府知事)
画像
等々、史実に基づく維新の志士達が織りなすドラマを描くとなると、男優中心となり、女優は志士を取り巻く女達の役でしか演じる場がなく、芝居に真紅組の誇る華と彩りが薄れてしまうのです。そこで、そこでですね、作者の阿部遼子さんは、志士たちの集う茶屋や屯所に棲まいする化け猫や飼われている猫たちをフィーチュアしたのでしょう。何たる慧眼!
画像
ワタシは商業ベースのドラマ創りを長年やっていましたから、出演者たち、特に女優さんを活かす気配りは劇作上必要不可欠でした。因みに、ワタシは中岡遼太郎が愛猫家で猫を飼っていたのか、史実かどうかを一寸調べてみたのですが、残念ながら不明でした。阿部さん、これってホンマですか?
画像

ま、それは兎も角、若木志帆さん扮する玉野宮を化け猫の女頭領に頂く眷属たちの四天王は、古田里美さんの萩野・猪谷洋子さんの桐野・阿部遼子さんの梅野・八田亜哉香さんの藤野、そして化け猫修行中のメイに和田明日香さん、ミケに山本美和子さん、トラに野村ますみさん、モモに服だ真紀子さん、クロにたもつさん、コトラに松本祐子さんの6人衆など、キャット軍団がとてもとっても良いんですよ、ハイ! いえ、猫仲間たちだけでなく、志士たちの群像を演じる男優さんたちも活気があってなかなかグーなんですよ、ハイハイ!!ま、舞台空間一杯にエネルギーが満ち溢れているのが真紅組のお芝居なんですよ、ハイハイハイ!!!
画像
画像

あ、それからこのブログを書くべしで、PCをいろいろ検索していると、観劇の感想を綴っているブログがあり、

おかだまるひさんの岩倉具視はちょっと配役ミスかな 。。(苦笑) 台詞回しは公家を意識されてゆっくり話されてましたね。そこは良かったですが岩倉具視は小男ですからね(笑) 西郷隆盛役ならピッタリですけど(笑)・・・

と書かれていました。
画像
西郷どんなら・・・というのは分かりますが、ワタシは岩倉具視がミスキャストとは思いませんでした。というのは、岩倉具視が小柄だとは知らなかったし、ホンマに小男かどうか調べてみますと、

公は身長五尺三寸(約160cm)。『岩倉具視公』より

との記述がみつかりました。『岩倉具視公』なる文献は、徳富猪一郎(明治から昭和戦後期にかけての日本のジャーナリスト、思想家、歴史家、評論家。『國民新聞』を主宰。号は蘇峰で徳富蘇峰として著名)著で昭和7年に刊行されており、国立国会図書館デジタルコレクションに蔵書が収められています。
画像
                   (上の写真は徳富蘇峰)

幕末当時、身長160㎝というのは、今と違って小男でなく、むしろ大きいと言えるかも。それに岩倉公のアクティングエリアは、志士たちを見下ろす高所に限定されていて、志士たちが仰ぎ見るような、志士たちを束ねるような存在が見事に演出されていました。そして岩倉公を演じるおかださんの巨漢は圧倒的な存在感があり、ワタシはこの配役になんら違和感を抱かなかったのであります。ま、人それぞれの感じ方があるのですね。

そしてドラマが終わった後にフィナーレとして、幕末・明治・大正・昭和・平成のヒット曲をメドレーにして歌い踊るショーがあり、そのラストに令和の幕が振り落とされたのですが、このフィナーレショーは全員溌剌としてエネルギー全開で、出演者の皆さん達もエンジョイされていたようです。中でも巨漢をゆさぶり踊るおかださんの存在は、ユーモラスで好感100%でした。ワタシはかってレビューもやっていましたから、とても懐かしく楽しめましたよ。
とりとめなく、大した感想を書かない内に結構長くなってきましたので、最後に、真紅組の出演者さん達の中で、いつもワタシが注目している古田里美さんですが、今回は口上風の口跡がビリリとキリッと場を引き締めていましたし、客にどんどん飲ませる映像早回しのようなコミカルな一寸したシーンも見事でした。
ではでは。
画像
あ、忘れてた。
画像

真紅組初めてのクラウド・ファンディングも、心温まる優しいステキな試みですね!

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック