袖振れ合うも多生の縁391~「ぼくはイエローでホワイトで、ブルー」から「ぼくはイエローでホワイトで、グリーン」へ ~

え、何、何? イエローにホワテトにブルーにグリーン!? えーと、色の三原色はCMYK(シアンcyan・マゼンタmagenta・イエローyellow)、光の三原色はRGB(赤Red・緑Green・青Blue)ですわな。
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一寸余計なことから書き始めましたが、今回は光の三原色も色の三原色もカンケーなく、『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』というのは、保育士・ライター・コラムニスト、ブレイディ・みかこさんの目下メチャ注目を集めているノンフィクション・エッセーなのです。
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この本がどんな中味なのかと言いますと、出版元新潮社のHPによれば・・・

優等生の「ぼく」が通う元・底辺中学は、毎日が事件の連続。人種差別丸出しの美少年、ジェンダーに悩むサッカー小僧。時には貧富の差でギスギスしたり、アイデンティティに悩んだり。世界の縮図のような日常を、思春期真っ只中の息子とパンクな母ちゃんの著者は、ともに考え悩み乗り越えていく。落涙必至の等身大ノンフィクション。
著者は、アイルランド人の夫と息子と3人で英国のブライトン在住。
“底辺託児所”で過ごした息子はカトリック系の名門小学校に進学しましたが、中学校進学が大きな転機に。名門のカトリック系中学に進学するか、地元の公立“元底辺中学校”に進学するか、その判断は息子の手に。そして息子氏は、果敢にも元底辺中学校への進学を選択するのです。そして著者は冒頭の「はじめに」にて、「中学生の日常を書き綴ることが、こんなに面白くなるとは考えたこともなかった」と記すことになるのです。
著者の言葉は誇張でも何でもなく、本当に面白い。
毎日、次々と驚くことばかり、まさに興奮尽きなし。明日は何が起きるのだろうかと、頁を繰る度にワクワクする程です。
ただ面白いというだけでなく、その中身が素晴らしい。
毎日問題にぶつかる度に息子氏が示す反応に、何と健やかな逞しさを感じさせられることか。
それらにおいて息子氏の抱く疑問もまた然り。
ただ、その疑問に適切な回答を示せる大人がいてこそ、子供は正しく育つのだ、という思いを新たにします。
(※ホント良い息子さんですよねぇ~、惚れ惚れします)
しかし、移民が多い国、地域とはこんなにも問題、課題が多いことかと思います。普通に学校に通っているだけでも、様々な問題や疑問がいくらでも湧いてくるかのよう。
大人にとっても、とても為になるなぁ、と思える一冊です。
ひとつの枠にはまった考え方しかできない大人の、何と情けないことか、とも感じさせられます。だから大人もきちんと問題、課題に向かい合わねば。
一応、息子氏が中心軸ですが、ある時は息子氏に驚かされ、ある時は息子氏と一緒に疑問を感じ、共にあれこれ考えるという著者の姿勢もお見事。
小説以上に面白く、つい興奮させられ、時に感動尽きず、という掌篇的なノンフィクション。
是非、お薦めです!

とまあ、出版社はPRしていますが、一読してホンマに面白いのです。書店の皆さんも、しゃかりきに力を入れてはります。
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書店の方だけやのうて、こんな方達もベタ褒めしてますよ。
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そやけど、流石プロの物書きさんは短い中にうまいこと、的確に中味を表現しはるなあ・・・と感心させられました。ワタシも一応プロの物書きやったこともあるんですが、いやぁ、脱帽ですわ。著者のみかこさんは、識者や書店員のみなさんにこない言うてはります。

 みなさんお忙しい中、わざわざ私のような不届き者の酒飲みババアの駄文について時間を割いて書いてくださっていて、いやちょっと泣きそうになっています(←けっして酔っているからではない)。
 ふつう、本を書いたときには「よっしゃー!」とか「うーん……」とか正直いろいろ感慨はあるんですけど、この本に関してはあまりに自分に近いところにある物事を書いているので、よくわからないというか、いったいこんなものを人様が読んでおもしろいんだろうか。という気持ちしかなかったので、励みになります。書店員のみなさま、本当にありがとうございます。サンクス・ア・ミリオンどころか、サンクス・ア・ビリオンです。

さてと、人様の感想ばかり書いてないで、ワタシもひとこと。下の写真は、同著の帯を撮った表紙ですが、このイラストって、みかこさんのお子さんですよね。で、靴を履いたというか、履きおえたというか、そんな少年の単なるポーズと最初は思っていたのですが、さに非ず!
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この子は他人の靴を履いたところなのです!なんで他人のクツやねん!? フツー自分のんを履くわな。でも、このイラストが他人のクツを履いたとワタシが言う訳は、下に掲載しました同著の目次の 5 誰かの靴を履いてみること をフィーチュアしているからなのでしょえう。

1 元底辺中学校への道
2 「glee/グリー」みたいな新学期
3 バッドでラップなクリスマス
4 スクール・ポリティクス
5 誰かの靴を履いてみること
6 プールサイドのあちら側とこちら側
7 ユニフォーム・ブギ
8 クールなのかジャパン
9 地雷だらけの多様性ワールド
10 母ちゃんの国にて
11 未来は君らの手の中
12 フォスター・チルドレンズ・ストーリー
13 いじめと皆勤賞のはざま
14 アイデンティティ熱のゆくえ
15 存在の耐えられない格差
16 ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとグリーン

一読して多々感心させられるところ満載なのですが、ワタシは5が最も印象に残ったのです。

「エンパシー(empathy)とは何か」との問題が、息子の中学の期末試験に出たのです。「empathy」って普通、「共感」とか「感情移入」と訳されてますよね。あなたなら何と答えますか? ワタシなら、「sympathy」との違いについてゴチャゴチャ解答してしまいそうですが、息子さんは、「自分で誰かのクツを履いてみること」と書いたそうです。 “stand in someone's shoes”という英語の定型表現は、他人の立場に立ってみるという意味だそうです。むむむ、成る程、これこそエンパシーですね!
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スケートシューズはいてもワタシなんか手すり磨きが関の山で、スケーターの立場に立つなんてフカノーです。
ま、そんなことはさておき、息子さんは学校で先生から、<EU離脱やテロの問題など世界中で起きている混乱をキミ達が乗り越えていくには、自分と違う立場の人々や、自分と違う意見を持つ人々の気持ちを想像してみることが大事で、つまり他人の靴を履いてみること。これからはエンパシーの時代である>と教わっているそうです。まさに、その通りですね。日本の中学校では、このようなことを教えているのでしょうか。
という訳で、他人の靴を履くイラストを表紙にフィーチュアした同著装画担当、中田いくみさんにあっぱれ!
あっぱれ1.jpg
イエローでホワイトな人だから、ブルーな気分だった息子さんは、今は自分の存在をグリーンと感じていられるのです。グリーンとは、「未熟」「経験が足りない」とかの意味と彼はとらえていて、自分は今、そのカラーだと思っているそうです。今後、彼は人生経験を経るにつれて、どのようにカラーチェンジされるのでしょうか。Good luck Kids ! Good luck MIKAKOSAN !



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