袖振れ合うも多生の縁350~ノンフィクション「冥界からの電話」、死者から電話ってほんと!?

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「これで最後。書かずにいられなかった」と仰る95歳の現役作家佐藤愛子さんの『冥界からの電話』(新潮社)を一気飲み、いえ超スピードで読破してしました! スピリチュアル人間のワタシには興味津々、但し4章迄で、最後の5章はどんでん返しというか、えーってな感じではぐらかされたというか、うーむ、そうか・・・総て記述は事実、内容にはいささかの虚構も誇張もありませんと筆者が冒頭に書かれているのですから、この終末もしゃあないわなぁと思った次第であります。こんなことをいきなり書いても、このブログを今読んでる方には何のこっちゃようわかりませんわな。そやからぼちぼち分かるように書き進めて参ります。この本は佐藤愛子さんが友人の高林医師(仮名)からお聞きになった、死んだ人から電話がかかってくるという摩訶不思議な体験談です。


処で、佐藤愛子さんは40数年前にアイヌの人々の霊地ともいうべき大事な北海道浦河町の大地を切り崩し山荘を建てた為、その山荘で数々の超常現象に悩まされた経験があり、それ迄は神も仏もあるもんかと思っておられたそうですが、人知の及ばぬ霊的な神仏の世界に目を開かされたとか。
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『冥界からの電話』の主人公高林医師は、心霊現象に関する科学的研究を目的に設立された日本心霊科学協会の会員で、心霊現象に造詣深く、心霊を盲目的に信じるのではなく科学的に研究しておられたので、山荘の超常現象に苦しんでいた愛子先生の相談に乗り、長年にわたり支えて下さったのです。ですから愛子先生は、死者からの電話という話を打ち明けられた時、それを信じて相談相手となり、その顛末を綿密に書き綴り、『冥界からの電話』を上梓されたのです。

さて、ことの発端は高林先生が教育委員会に頼まれ高校生達に、自分が医師を志した動機について講演から始まります。
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唐突に、宮沢賢治さんの写真と賢治の詩「この夜半おどろきさめ」が出てきましたが、高林医師は17才の時、この詩に出逢い感動して医者になろうとしたのです。


この夜半おどろきさめ
耳をすまして西の階下を聴けば
ああまたあの児が咳しては泣き
また咳しては泣いて居ります
その母のしづかに教えなだめる声は
合間合間に絶えずきこえます

あの室(へや)は寒い筈でございます
昼は日が射さず
夜は風が床下から床板のすき間をくぐり
昭和三年の十二月
私があおの室で急性肺炎になりましたとき
新婚のあの子の父母は
私のこの日照る広いじぶんらの室を与へ
自分らはその暗い
私の四月病んだ室へ入って行ったのです

そしてその二月
あの子はあすこで生れました
あの子は女の子にしては心強く
凡そ(およそ)倒れたり落ちたり
そんなことで泣きませんでした

私が去年から病やうやく癒え(いえ)
朝顔作り菊を作れば
あの子もいっしょに水をやり
時には蕾(つぼみ)ある枝もきったりいたしました
この九月の末私はふたたび東京で病み
向ふで骨になろうと覚悟してゐましたが
こたびも父母の情け(なさけ)に帰って来れば
この子は門に立って笑って迎へ
また階子(はしご)から
お久しぶりでごあんすと
声をたえだえ叫びました

ああいま熱とあへぎのために
心をととのへるすべをしらず
それでもいつかの晩は
わがないもやと云って
ねむってゐましたが
今度はただただ咳き泣くばかりでございます

ああ大梵天王
こよひはしたなくもこころみだれて
あなたに訴え参ります
あの子は三つでございますが
直立して合掌し
法華の首題も唱えました
如何なる前世の非にもあれ
ただかの病かの痛苦をば
私にうつし賜わらんこと

(法華の首題とは「南無妙法蓮華経」のこと)

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         梵天(ぼんてん)は仏教の守護神である一柱


高林先生は、聴衆の高校生と同じ年頃、この詩に強く心を動かされたことを熱っぽく語ったのですが、今時の高校生はしらーっとしていて講演は大失敗だった・・・と失意の内に講演後の日々を過ごしていたのですが、一通の手紙が届いたのです! 高林医師の話を聞いて感動し、国語の教師になろうと思っていたが、進路を変え医師を目指すことにしたという内容でした。

そしてこれをきっかけに、ひふみという名の少女と高林医師はときおり電話で話すようになるのです。ひふみは猛勉強の甲斐あって、医学部に合格し、入学祝いの為に二人は初めて会うことになるのですが、当日高林医師がいくら待っても待ち合わせの場所に彼女は現れず、後日兄と名乗る人物から電話があり、彼女が交通事故で亡くなったと知らされます。

ひふみの兄からその後も電話がかかり、「私はK大医学部に在籍中で下宿していて、殆ど実家に帰っていなかったのですが、今はどういうわけか家に帰りたくなり、帰宅すると何故か先生に電話してしまうのです・・・」と兄はひふみの死後の心境変化を訝っていました。そして三度目の電話の最中、突然バチッと木の裂けるような鋭い音がし部屋の照明が消え、兄の声が途絶えたかと思うと、「先生・・・ひふみです・・・」と耳に馴染んでいたあの声が、ひふみの声が聞こえて来たのです! その後も度々兄から電話があると必ず、兄に憑依したようにひふみが喋り出すのです。」
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ある時高林先生はひふみの供養のため頂き物の新茶を淹れ、これ又到来物の東京ばな奈を供えたのですが、10日後にかかってきた電話でひふみは、「先生の声がして、なんだかあまーい香りがして・・・」と話し出したのです!

驚いた先生は、「届いたんだねぇ・・・お茶とお菓子」と答えた儘、暫く何も言えなかったそうです。

「とても甘い、おいしいお茶でした。それに東京ばな奈はわたし、大好きなの。ほんと、ご馳走さまでした」

高林先生はひふみには勿論、ひふみの兄にも誰にも東京ばな奈とお茶を供えたことを喋っていないのに、ひふみには甘い香りが届いていたのです!

「何なんでしょうな、これは・・・ こんなことってあるんですかねぇ!? 兄の声に取って代わるのは他の誰でもない。あの物の言い方はひふみちゃんが生きてる時と全く同じです。」高林先生は、何度も何度も愛子先生にそう言い続けるのでした。


ここで、兄とひふみからの電話で分かったことを纏めますと・・・

〇ひふみは自分が死んでいるのを自覚していること。

〇ひふみは両親の家にいて兄を呼び寄せ、兄の身体を借りないと先生に電話出来ないこと。

〇希望した大学に合格出来、医学の道に歩み出そうという矢先、前途が突然断たれた無念さにひふみが凝り固まっている気配はないこと。

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そうであるなら、ひふみのこの世への執着は高林先生への思慕が原因・・・と愛子先生は考えずにいられませんでした。高林先生は、「それ程の執着に捕らわれるような関係ではない。僕はむこうの顔も知らないし、向こうだって夜更けまでの受験勉強の気晴らし程度の気持ちで電話をかけていたのだろうから。そんな執着されるようなことは何もしていないですよ。」と力説されるのです。しかし佐藤先生には、兄が言った言葉、「以前ひふみがこんなことを言ったことがあるんです。お兄ちゃん、わたし好きな人がいるの。だけど付き合うことの出来ない人。年がごく離れているの。名前がお兄ちゃんと一字だけ同じなのよ・・・」が大きな意味を持つように思えるのです。高林先生の名は圭吾、兄の名は圭太郎で、単なる偶然でも恋する乙女にとっては何かの因縁のように思えてしまう筈。だから深い恋愛感情ではなかったとしても、高林先生はひふみが初めて思慕した異性で、ひふみの霊がこの世に留まり続け地縛霊であり続けては、高林先生の身にどんなことが起こるかも知れないし、それではひふみの魂も浮かばれないから、彼女の霊魂をあの世に送ってやらば・・・そうするのは高林先生の役目、高林先生は審神者(サニワ)になるべきだと愛子先生は思うのです。

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        審神者(サニワ)の元祖武内宿禰(たけうちのすくね)

審神者(サニワ)とは、神功皇后の新羅遠征の時、皇后に降りた神のお告げの真偽をただした武内宿禰が始まりとされていて、本来は神のお告げを承る人でしたが、いつの頃からか浮遊霊や地縛霊などを説得し霊界に送る役目をするようになっているのです。高林先生の父親も神仏習合である御岳教の主宰者で、審神者の役目もなさっており、息子にも審神者たれとと促していたのですが、高林先生は医師という仕事への拘りからか尻込みしていたのです。
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               御岳教大和本宮


それからもひふみから数回電話があり、高林先生はそれなりに楽しく彼女とお喋りをしてしまっていたのですが、兄に代わって母親が電話してきたのです。兄は電話を終えると100メートル全力疾走したような疲労感に苛まれ、ひふみの電話して欲しいとの念にも易々とは応え難くなったからなのです。それを知った高林先生は、心霊を勉強した者としては何とかしなければ・・・と精一杯意志の力を奮い起こし、お兄ちゃんやお母さんのエルギーを奪ってはいけないこと、このまま続けると二人とも病気になってしまうこと、ひふみちゃんは霊界へ上がって修行を積んで、両親やお兄ちゃんを助ける立派な霊になってほしいこと等々を切々と熱く激しく説いたのです。

「わかった、わたし、行くわ。」

かくして、ひふみの霊魂は霊界へと旅立っていったのです。
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『冥界からの電話』は、これにて一件落着ですかいな?

いやいや、まだ続くんですが長うなりましたから、お後は次回ということで。

ではでは。

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